大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和49年(ネ)5号 判決

職権をもって調査をするに、本件記録によれば、被控訴人と控訴人間の東京地方裁判所八王子支部昭和四八年(手ワ)第九三号約束手形金請求事件について、同裁判所が昭和四八年九月二七日に言渡した手形判決に対し、控訴会社代表取締役安川祐輔から昭和四八年八月二〇日付書面によって、訴訟委任を受けていた弁護士永塚昇が、同年一〇月五日、控訴会社の代理人として、異議の申立をしたところ、控訴会社の代表取締役は、既に、右訴訟委任をする以前である同年七月八日、安川祐輔から原島富士雄へ変更され、同月二〇日その旨の登記手続も終了していたことが明らかであるから、右永塚弁護士がした右異議申立は、結局、訴訟代理権に欠缺のある不適法なものであるというの外はない。しかしながら、右訴訟代理権の欠缺は、通常、原審において、口頭弁論の終結までに、控訴会社の正当な代表権ある者の委任状の追完ないしは追認により、十分これを補正することが可能であるから、なんら補正の機会を与えることなく、直ちに異議申立を却下することは許されないものといわなければならない。しかも、当審において控訴会社の正当な代表取締役において、前記代理人が原審においてなした一切の訴訟行為を追認したことが明らかであるから、民事訴訟法第八七条、第五四条により上記訴訟代理権の欠缺は補正されたものというべきであり、右異議申立を不適法として却下した原判決は、結局において違法に帰し、取消を免れない。

(杉山孝 古川 岩佐)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!